「薬局プレアボイド」で医薬分業メリット示す

2021年4月19日

NPhA首藤会長「保険薬局が果たす役割とその未来」

NPhA松野常務理事「コロナ禍での新たな薬局経営について」

Care Show 第2回保険薬局支援展・共催セミナーで

医薬分業のメリットを示すには、地域薬局の役割と機能、薬剤師の職能について、多職種へ理解を促すことが重要だ。第2回保険薬局支援展(Care Show Japan2021内)で行われた日本保険薬局協会(NPhA)共催セミナーでは、同会長の首藤正一氏(アインHD専務)が「薬局プレアボイド」について講演。コロナ下にも関わらずセミナー会場では大勢が耳を傾けた。また同常務理事でたんぽぽ薬局・松野英子社長は、「コロナ禍での新たな薬局経営について」と題し、ICT化・在宅医療・人材育成など、同社が取り組む事例を発表した。Care Show Japanは「介護」「医療」「予防・未病」「ヘルステック」に関する7展示会で構成。同共催セミナーによって、多職種への業務理解の機会になったにちがいない。

首藤会長
松野常務

「薬局の役割が見えない」の声

 新型コロナウイルス感染拡大が続く中で、処方せん枚数の減少傾向も収まらない。薬局の経営は厳しさの渦中にある。

 そんな中、首藤会長が「保険薬局が果たす役割とその未来」と題して講演に立った。

 医薬分業が80%に達しながら、「薬局の役割が見えない」、他の医療従事者から「医薬分業のメリットが感じられない」といった声が、依然として聞こえてくることに遺憾を示す一方、「薬局プレアボイド」をテーマに挙げたことで、薬局の役割と具体的な取り組み、そして成果を示し、十分に理解されていない現状を払拭したいという思いの現れだろう。

 具体的な取り組みを事例で示しながら、「薬局が社会インフラとして活用できることを信じている」、「人に安心、頼れる存在、将来の薬局像として思い描いている」と講演を締めくくった。

 セミナー会場も、緊急事態宣言発令中にもかかわらず、大勢が出席。その関心の高さに、首藤会長自身も驚いた様子だった。

OL服薬指導 メリットと課題

 一方、たんぽぽ薬局の松野社長は「コロナ禍での新たな薬局経営の方向性について」と題して、オンライで発表。

 同社の売上げ、営業利益共にマイナス続きという厳しい状況を吐露しながらも、地域医療を担う薬局として、今後の方針を述べた。

 薬局プレアボイド関連では、検査値情報が記載された処方箋の応需店舗数が一昨年と昨年を比べて、8.8%増加したとし、患者の副作用等の不利益回避のため、薬薬連携を発展させることが重要と、あらためて述べた。

 今後の方針として、特にポイントにあげたのは在宅医療の拡大、ICT活用強化、人材育成、そして社会資源として地域活動への積極的な参画だ。

 また、店舗では「語りかける待合室」の取り組み。昨年の世界糖尿病デーでは、外来待ち時間にアンケートをとりながら、食生活アドバイスや、推奨商品として「ラカント」販売コンテストを行い、患者とのコミュニケーションの一助となったようだ。

 店舗スタッフからは「薬以外の話もでき、よいきっかけになった」という声が上がっているという。

 昨年スタートしたオンライン服薬指導のメリットにも言及。患者にとっては「病院や薬局への通院負担の軽減」「インフルエンザ等罹患リスクの軽減」「時間予約により服薬指導時に家族など看護・介護者の立ち合いが容易」など、一方、薬剤師にとっては「自宅における薬の管理状況、残薬の数量、生活環境などの情報が入手しやすい」などを上げている。

 課題としては「五感での情報が乏しい」「配送・支払い」「通信環境」「制度、算定」などがあるが、「丁寧に対応しながら、進めていきたい」(松野社長)と姿勢を示した。