上場DgS2020年度決算出揃う

2021年8月5日

上場DgS2020年度決算出揃う

コロナ禍の戦略が来期の明暗分かつ

 7月27日に開示されたGenky DrugStoresをあわせ、上場ドラッグストア13社の2020年度決算が出そろった(表)。コロナ特需の恩恵もあり9社が増収増益、うち4社が2ケタの増収増益だった。一方で3社が2ケタの減収減益になるなど、特殊な状況下で企業間の明暗は分かれた。

 調剤薬局の併設率が7割超と突出して高いウエルシアHDとスギHDは、共に2ケタの増収増益だった。生活圏で薬を受け取れる利便性が、コロナ禍で外出を自粛する中で支持された。同じく2ケタの増収増益のコスモス薬品とGenky DrugStoresは、総売上の過半を占める食品が、コロナ禍で高い支持を集めた。

 営業利益率№1はサンドラッグの5.9%で、以下マツモトキヨシHDの5.7%、クリエイトSDHDの5.5%、クスリのアオキの5.4%と続く。経常利益率№1はマツモトキヨシHDの6.1%となっており、都市型が苦戦する中でも高い収益性を維持した。また当期利益率№1はサンドラッグの4.0%で、次いでマツモトキヨシHDとクスリのアオキが同率の3.9%となる。今期以降の各社が、コロナ禍で確保した利益をどのように再投資していくのかも注目したい。

 なお、上場13社の売上高を合計すると6兆0,205億円となり、日本チェーンドラッグストア協会が発表した2020年度の市場規模8兆0,363億円に占める割合は74.9%となっている。先日はウエルシアHDが広島のププレひまわりの子会社化を発表し、9月にはマツモトキヨシHDとココカラファインが経営統合するなど、大手の寡占化は着々と進行している。

一方、コロナ特需が一巡した今期は、特需の反動による売上減と販促強化などの経費増による利益面が伸び悩んでいる。今後は大手中小を問わず、綿密で精度の高い戦略の立案と遂行が必要になってくる。