インタビュー:SOO・平野健二社長(前編)

2021年4月19日
インタビュー:SOO・平野健二社長(前編)

新時代を展望するマーケティング企業SOO! 平野健二社長の視点(前編)

ID-POSの活用でメーカーと小売が Win-Winとなる未来を描くSOO

日本全国のローカルチェーンドラッグが加盟するマーケティング企業が存在する。その名は「SegmentofOne&Only」、通称SOO(エス・オー・オー)だ。その経営トップを務めるのはサンキュードラッグ(福岡県北九州市)の社長兼CEOでもある平野健二さん。SOOは、小売り企業同士、そして小売り企業とメーカーがコラボレーションしながら、ID-POSから得られるディープデータを活用し、より高度なOneToOneマーケティングを具現化することで、加盟企業やメーカーから厚い支持を得てきた。マーケティング業界において新たな風を吹かせたSOO…。今号から2回にわたって、そのトップである平野さんの視点をインタビュー形式で、お届けする。(記事=佐藤健太)

——平野さんがSOOを立ち上げたキッカケをお聞かせください。

私が経営するサンキュードラッグは福岡県北九州市を中心に展開しているローカルチェーンです。かつての日本のように、人口が増え、経済の見通しも良く、さらに市場に空白があるのでしたら、出店地域の拡大などが企業規模の拡大に直結しますが、北九州市は人口減少と高齢化が激しい地域であり、こうした経営環境の中で規模拡大による成長を展望するのは難しい状況にあります。人口減少社会において、単純にコモディティのマーケットだけを見てしまい、ましてや販促にコストをかけてお客さまを奪い合ってしまうと、確実にその企業は疲弊してしまいます。それで2007年に潜在需要発掘研究会を立ち上げ、ID-POSを使ってお客さまのことをもっと深く知り、一人ひとりのお客さまに個別にアプローチしようとすることを始めました。一人ひとりのお客さまが気づいていないニーズを発掘し、お客さまに気づきを与える、そして市場を深堀していく、つまり市場創造をしていかないと、日本の社会では生きていけないように思います。これは中小企業だけではなく、大手にも同じことが言えますね。潜在需要発掘研究会でID-POSで分析したことは以下です。

1.お客さまは誰か?

2.そのお客さまにとっての価値は何か?

3.その商品の価値をどうやって伝えるか?

4.最終的にそのお客さまに何を“起こす”か?

新規のお客さまを取っていくのか、カテゴリー新規を取っていくのか、一度離反したお客さまを復帰させるのか、購買のインターバルを短縮させるのか、など目指すものはたくさんあります。

2007年の当時は、デジタルのツールがほとんどありませんでしたので、リアルの店頭を通して、価値伝達と需要創造を目指すという形をとりました。例えば、POPのメッセージを変えたり、売り場を動かすなど取り組む中で、売り上げが伸びた商品が出てきました。メーカーさんは「新製品を出さないと売り上げは伸びない」と思いがちですが、潜在需要創造研究会によって「新製品の前に、既存商品が伝わっていない」ということが明らかになったのです。メーカーさんも新製品を次から次に出し、新製品の寿命が短いとなれば生き残りが非常に大変です。そうとはせず、「メーカーと小売りが生き残るためにWIN-WINの方法があって、これを全国に広げようではありませんか」という考え方が、私がSOOを立ち上げた原点になります。

——SOOが目指すマーケティングとは?

その後SOOでは、全国ドラッグストアのID-POSのパネルを作りました。データが徐々にたまってきましたので、メーカーさんにもデータ提供を始めたわけですが、データをどう活用すればいいのか?何をすれば効果的なのか?」とメーカーさんが疑問をお持ちになるケースが多くありました。このニーズに対応するために、SOOは3カ月に一度、「ID-POSマーケティング研究会」をスタートするようになります。

さらに、SOOにはドラッグストアの加盟企業が相互に契約を結ぶと、他企業の生データを自由に見ていいという制度があります。たとえばサンキュードラッグと新生堂薬局さんは一番近い店でいうと1キロほどしかありません。ライバル関係ではあるのですが、だからこそ、お互いのどの店で何が売れているという状況を知ることは非常に役に立ちます。

これが北海道と東京の会社でとなると、商圏環境があまりにも違うので、参考になりにくいですが、近いからこそ情報をシェアしていくことで、互いの企業が切磋琢磨できるのです。メーカーさんに向けても「この商品を、九州地区の3社で伸ばしていきます。売り方は、みんなで研究していきます」とすると、取り組みにも乗りやすくなります。こうした仕組み、こうしたやり方を全国に広げていきましょうというのがSOOの発想なのです。(次回に続く)