【新連載】API’s PLUS on (3)

2024年11月6日

第3回「腸溶性サプリ」

健康食品受託製造企業最大手のアピ(岐阜市)では、多彩な製剤加工技術と原料加工技術を駆使することで最終製品に新たな魅力や付加価値を〝プラスオン〟するプロジェクト「API‛s PLUS on」を展開している。連載第3回は、サプリメントに耐酸性を付与することで胃酸に弱い成分の保護や戻り臭の防止が期待できる「腸溶性サプリ」を紹介。ソフトカプセル、ハードカプセル、錠剤のすべてに対応でき、いずれも崩壊性試験をクリアしていることが同社の強みだ。独自の処方設計技術と掛け合わせることで、より体感性を高めたサプリメントの開発に応用できる可能性もある。

ソフト・ハードカプセル・錠剤に対応可能

「腸溶性サプリ」とは、有効成分が胃酸により失活しないよう、耐酸性の成分をカプセル皮膜またはコーティング膜に添加することで、胃では溶けずに小腸で溶けて有効成分の効果を発揮させる製剤技術のこと。主に乳酸菌・ビフィズス菌の生菌やナットウキナーゼ、SOD、プラズマローゲン、ラクトフェリンといった胃酸に弱い成分の保護、ニンニクやプロポリス、β‐カリオフィレン、HMBCaといったにおいの強い成分の戻り臭防止などの目的で利用されている。

一般的に、腸溶性や耐酸性のサプリメントにはソフトカプセルを用いるケースが多いが、同社ではソフトカプセル、ハードカプセル、錠剤のすべてに腸溶性を付与することができ、いずれも日本薬局方に準拠した崩壊性試験をクリアしている。

崩壊性試験に使用したのは①ノコギリヤシエキスを配合したソフトカプセル、②生きたビフィズス菌を配合したハードカプセル、③酸に弱いタンパク質を配合した錠剤の3種類。いずれも人工胃液では120分経過後も溶出しなかったが、人工腸液では60分以内に溶出したことが確認された【写真】。

こうしたエビエンスが顧客からも評価されており、既存製品のリニューアルやバージョンアップの際に「腸溶性サプリ」が採用されるケースも増えているという。

なお、腸溶性のソフトカプセルについては特許を取得済み。容器内でのカプセルの変形や結着が発生しにくいことも特徴となっている。

また、同社が展開するエビデンスベースでの処方設計に特化したプロジェクト「API‛s CF」と「腸溶性サプリ」の製剤技術を掛け合わせることで、より吸収性や体感性を追求したサプリメントの開発も期待される。

「『腸溶性サプリ』を活用することで、胃酸に弱い成分、もしくは小腸での吸収効率が高い成分などの効果を狙い通りに発揮させやすくなる。将来的には『腸溶性サプリ』の有用性を示すエビデンスの拡充や他剤型への応用など、『腸溶性サプリ』の可能性をさらに探求していきたい」(担当者)と語っている。


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