機能性表示、6月には新様式の傾向見えてくる/渡邉憲和氏

2025年6月6日

薬事法マーケティング事務所代表/日本食品エビデンス協会代表理
渡邉 憲和氏

4月1日から新様式での届出がスタートし、「PRISMA2020」への完全移行や年1回の自己点検実施など、届出事業者は対応に迫られている。本紙では、機能性表示食品の届出について950件以上(うちPRISMA2020対応30件以上)のサポート実績を持つ薬事法マーケティング事務所の渡邉憲和代表に、新様式において事業者が留意すべき点や今後の見通しなどを語ってもらった。

―事業者からは新ルールへの対応に苦慮する声が聞かれています。

渡邉 新ルールでは「PRISMA2020」への準拠が必須となったほか、年1回の自己点検や新規成分の「120日ルール」の導入など、対応すべきポイントが多く、事業者の方からのお問合せも増えています。

届出データベースが更改されたため、届出作業を行うにはデジタル庁が運営するGビズの登録が必要になります。届出様式も変更されたため、昨年度までに「PRISMA2020」で届出が完了している場合も新様式に合わせて届出資料を修正しなければなりません。

加えて、来年8月31日までに新ルールに対応したパッケージへの変更や、錠剤・カプセルなどのサプリメント形状であれば5月2日に公開されたGMPの自己点検表への対応も必要になります。

「PRISMA2020」への対応は当初難航していましたが、現在までに100製品以上が受理され、留意すべきポイントも明確になりつつあります。一方で、最近の消費者庁の差し戻し内容は曖昧な表現が増えており、届出者やSR主宰者が届出の手引き等を参考に自らの判断で対応すべき事項が増えている印象を受けます。

6月には、今年度に入ってから届出された製品の受理または差し戻しの結果が出る予定ですので、新様式における指摘事項の傾向と、事業者がとるべき対策が見えてくるでしょう。

―年1回の自己点検で注意すべきポイントは。

渡邉 今年3月31日までに受理された製品は来年3月31日までに1回目の自己点検を実施する必要があります。

内容は機能性・安全性に関する新たな知見調査や健康被害に関する情報の有無、機能性関与成分の分析などが含まれます。特に分析には時間を要することが予想されるため、届出製品の多い事業者の方は早めの準備・対応が求められます。

ただし、自己点検は今後毎年実施する必要がありますので、過度に負担と考えすぎず、消費者庁の求める自己点検の水準とコストとのバランスを考慮しながら進めていくことも重要でしょう。

当社では、中小の事業者の方でも無理のない形で取り組めるよう、自己点検のサポートを行っています。

―今後の機能性表示食品市場への期待は。

渡邉 届出へのハードルは高くなっていますが、機能性表示食品の市場自体はまだまだ拡大の余地があると考えます。今年に入ってから、免疫機能に関して新たに2成分が届出受理され、届出に必要な条件は見えてきたと言えます。

免疫機能に関する届出は150件を超え、社会的なニーズも依然として高いため、今後も拡大が期待できるのではないでしょうか。

「フェムテック」や「スリーブテック」といった社会的な関心が高まっている分野でも、機能性表示食品にチャンスがあると思います。

―ありがとうございました。


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