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その頃、肥満が問題になり出していた(185)
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最近ではリンゴのようにお腹に脂肪が付いて肥っている人を「リンゴ型肥満」と言うようになった。これは男性に多く、女性にありがちな肥満は「洋ナシ型肥満」と言うそうで、皮下脂肪が付くタイプだ。皮下脂肪型の肥満は比較的健康に悪い影響は少ないようだが、内臓脂肪型の肥満は生活習慣病に結び付くので問題だ。
この肥満の度合いはボディ・マス・インデックス(BMI)で割り出すのが普通になった。日本肥満学会によると、この肥満指数が18.5未満は低体重、18.5以上で25以下が普通体重、肥満は25以上の人を言う。そして理想は22だった。私は上限ぎりぎりのところだが、腹囲は85cmを上回っている。
ところで、この話が進行中の1985年のこの時期にはBMIの判定法はほとんど知られていなかった。確かローレル指数というのが使われていたような気がするが、調べてみると子供に使う肥満度の指数で大人になると誤差が出て来るようだ。
この頃、肥満について急に悪いイメージになってきたことを覚えている。しかし私が子供の頃はむしろ良いイメージだった。近所の家で肥ったご主人がいようものなら、「あのうちはお金持ちだから」、「あの人は恰幅が良くて、どこか会社の重役のようだね」などと母とお祖母ちゃんが話していたのを思います。
かつて、肥っていることは裕福の象徴だった。それだけ我々の周りは痩せた人ばかりだったわけだが、わずかの間にその評価が変わった。この頃になると、肥った大人が増え、サラリーマンの中年太りなどが目立つようになった。学校では肥満児が問題になるようにもなっていた。私が社会に出る頃になると、肥った男は女性にモテなくなった。一つは見てくれであり、もう一つが病気と結びついていることが知られるとようになったためだ。ただし、肥満で病気になるのは、たいがいが中高年のオジサンやオバサンなってからだ。
今では肥満は脂質異常や糖尿病、高血圧のリスクが2倍以上になることが分かっている。さらにBMIが30を超えると減量は待ったなしだ。とにかく脂質異常や糖尿病、さらには高血圧も動脈硬化につながるリスクファクターだといわれる。動脈硬化が進行すると、血管はもろくなり、「切れる」、「詰まる」の原因になる。つまり心臓病や脳血管疾患を引き起こす。
「角栄さんはこれで脳の血管が詰まったんだ」と渡辺先生。この時期の統計によると、日本人の男女ともBMIは平均で、理想値をやや超えた22と23の間くらいだった。昭和30年頃は男女と21から22に間だったのに比べて、1ランク上がっている。平均値でこのくらいだとすると、25以上の肥満の危険領域の人もかなりいることになる。中年のオジサンだとかなり危険だということだ。
「例えば寺内貫太郎のような人ですね」と岩澤君が言う。渡辺先生以外はなるほどと頷いた。
「タレントで作曲家の小林亜星さんですよ」と私が言うと先生は合点がいったようだ。10年ほど前に「寺内貫太郎一家」と言う向田邦子らの脚本のテレビドラマがあった。台東区谷中の墓石屋の一家のドラマで、そのご主人役を小林亜星がやっていた。小林亜星は確かに腹がデップリとした典型的なオヤジで肥満だった。
「と言うことは、小林亜星さんも動脈硬化を起こしているっていうことですかねェ」と私が言うと、「もちろん検査しないと分からないが、恐らくそうだろう」と渡辺先生は推測する。
「そういえば園田さんも似ていますね」と吉村君。その声が聞こえたのかどうか、勉強会をしている会議室のドアが開いて会長の園田さんが顔を出した。
その姿を見て、思わずみんなどっと笑った。
(ヘルスライフビジネス2021年12月15日号「私の故旧忘れ得べき」本紙主幹・木村忠明)