岡山地裁が暗示広告への差止請求を棄却㊤

2022年10月5日

事業者側の科学的根拠を一部認める

岡山地裁「ただちに優良誤認とは言えない」

岡山地方裁判所は9月20日、健康食品販売会社・インシップ(千葉県浦安市)の新聞広告に対し、適格消費者団体「消費者ネットおかやま」が行った差止請求を棄却する判決を言い渡した。

消費者ネットおかやまでは、インシップが販売するサプリメント「ノコギリヤシエキス」の新聞広告が頻尿改善に効果があると消費者に誤認を与えるものだとし、景品表示法の優良誤認表示が認められるとして2020年に差止請求を提訴。

当該広告には「夜中に何度も…」「最近時間が…」「中高年男性のスッキリしない悩みに!」といった文言が表示されていたほか、男性が困ったような顔を浮かべ下半身を震わせるイラストや、「飲んでみたら、早めにスッキリした」「寒い時期も乗り切れそうです」などが記載されていた。

裁判では、消費者ネットおかやま側がノコギリヤシエキスの効果を否定する独自の証拠を提出したが、一方のインシップ側も効果を肯定する証拠を複数提出。

これに対し岡山地裁は①具体的な疾病名や特定の症状、それに対する具体的な治療効果が記載されておらず、医薬品的な効能効果が表示されていないこと、②「早めにスッキリした」、「寒い時期も乗り切れそう」という抽象的な表現にとどまること、③脚注に「すべて個人の感想です。効能効果を保証するものではありません」と記載があることから「直ちに優良誤認に当たるなどということはできない」と判断。

さらに「ノコギリヤシの頻尿改善効果を肯定する研究報告等も相当数見られるのであるから、ノコギリヤシに、少なくとも個人差のある一定程度の頻尿改善効果が認められる可能性は否定しきれない」などとして消費者ネットおかやまの請求を棄却した(判決文から一部抜粋)

㊦に続く

※本件の詳報は「ヘルスライフビジネス10月1日号」に掲載

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