健康食品の広告・販売 規制事例の分析と研究(4)

2022年11月30日

※「ヘルスライフビジネス」2022年3月1日号掲載の記事です。                   平成29年3月9日公表の措置命令を受けた健食販社が、この処分が表現の自由を侵害するとして最高裁まで争った訴訟で、処分は「公共の福祉に合致する」と明確に判断された。当然としか言いようがない。他にも解説の必要な事例は見当たらないので、今回は説明不足が気になっていた3月1日号のアフィリエイト広告の報告書に関する解説の補足をさせて頂く。前回は今後どうなるのかという具体的な部分が不足していた。その補足として、この報告書から推測できる消費者庁の規制基準に関する考え方の方向性に関する筆者の見解を述べる。参考になれば幸甚である。 

 

アフィリエイト広告は今後どのように規制されるのか

不当表示とされる「ステマ」広告の排除が始まる

規制により「ステマ」広告の訴求力は喪失する

想定される広告主に対する規制強化の内容

 アフィリエイト広告に関して、消費者庁は次にように規制強化を考えているように、報告書からは読める。

 アフィリエイト広告を広告主が放置することは許されず、管理義務が生じる。広告内容の○×に関する責任が広告主にあることが明確になって、それを管理する担当者が必要になる。そのための研修など、広告主である事業者側の負担は増加する。

 アフィリエイト広告に関する消費者からの質問に対応する窓口を広告主が設置することも必要になり、回答に満足しない消費者が行政や警察に相談すれば、事件になるおそれも生じる。

 広告主が管理していて不適切な内容があれば、是正や削除が必要になるし、管理が適切でなければ、広告主の責任が問われる。是正や削除の指示にアフィリエイター側が従わなければ、広告主は契約を解除しなければならなくなる。

 これら以外の規制強化については、次項以降で述べる。

「広告である旨の表示」などの実務上の意味

 標記について前回の3月1日号では十分な解説ができなかったので気になっていた。そもそも、アフィリエイト広告の訴求力の源泉は、消費者が広告であることに気付きにくい点にある。不適切表現がなければ問題ないわけだが、あれば単に不適切表現のある場合よりも悪質とされる。

 スティルスマーケティングでの広告を筆者が定義すると「広告でないかのように工夫して、広告でなければ○になる表現を使う広告」ということになる。これからすると、アフィリエイター自身の効果の体験を記載して、広告でないかのように誤認させる広告が規制対象になる「ステマ」広告になることは言うまでもない。 

 すべてのアフィリエイト広告に「広告である旨の表示」が必要になれば右のような誤認はなくなり、大きな規制効果が得られる。逆に、これまでのこの広告の訴求力は致命的な影響を受ける。

 また、アフィリエイト広告の広告主が参加する協議会の設置は、景表法上の規定に基づく公正競争規約の導入を想定したものであり、当然、参加しない広告主の規制が強化されることになる。

薬機法によるアフィリエイターなどへの規制

 以上は景表法によるアフィリエイト広告の広告主に対する規制強化である。3月1日号では解説できなかったが、薬機法による規制について、報告書がまったく触れていなかったわけではない。

 消費者庁などの行政庁が悪質と判断するアフィリエイト広告には「警察などとの適切な連携が必要になる」と、報告書に明記されている。

 つまり、直罰規定のない景表法の処分では罰として不十分な場合には、警察に通報して摘発して貰うことが想定されていることになる。

 これまでも、薬機法によるアフィリエイター単独の摘発だけでなく、実態はアフィリエイト広告と思われる広告の広告主の従業員や広告会社の摘発例がある。今後もこのような警察の取締りは増加することはあっても、なくなることはないと思われる。アフィリエイト広告の規制は、主に景表法で行われるが、それを遵守しないものには、広告主であっても、薬機法の摘発があり得ると理解するべきだろう。

今後の規制強化に対する実務上の留意点

 以上で述べたような規制強化が実施されれば、これまでのようなアフィリエイト広告の利用はできなくなり、利用すれば措置命令だけでなく、薬機法の摘発もあり得ることになる。

 このような規制強化は単にアフィリエイト広告だけを対象とするものではなく「ステマ広告全般が対象になると考えるべきだろう。

 SNS上のサイトには健食の販売事業者が関与している「ステマ」広告と、関与していないものとが混在している。関与していないものは、売上に寄与していても規制対象になる広告とはみなさない。 

 しかし、規制が強化されると、そのサイトの記載内容が当該健食の売上に寄与していることが明らかな場合には、実質的な広告と判断され、販売者が広告主として規制されるようになるのではないかと、筆者は危惧している。

 もちろん「ステマ」広告の規制強化は、その内容が医薬品的な表現や虚偽誇大表現とされる場合に限られる。機能性表示食品が届出表示の範囲で広告するのであれば、アフィリエイト広告を含む「ステマ」広告であっても規制されない。一般健食の機能性表示食品への吸収促進のためにも「ステマ」広告の規制は強化されると。筆者は推測している。