【インタビュー】ナガセヴィータ・丸田和彦氏
「トレハ」発売30周年&「ファイバリクサ」発売10周年
ナガセヴィータ フードシステムソリューションズ部門
事業戦略部長付 丸田 和彦 氏
ナガセヴィータ(岡山市北区)の主力製品である「トレハ」が今年11月に発売30周年、水溶性食物繊維「ファイバリクサ」(成分名:イソマルトデキストリン)が10周年を迎える。本紙ではこれを記念し、でん粉からトレハロースを生成する酵素の発見を通して、長年にわたって同社の研究開発に携わってきた丸田和彦氏に、トレハロースの開発経緯やその機能性、おいしさと健康ならびにサスティナビリティへの貢献などについて語ってもらった。
「人々の健康とサスティナビリティへの貢献が当社の使命」

―トレハロースを開発したきっかけは。
丸田 トレハロースを生成する酵素を発見したのは1992年のことです。
当時、会社から「でん粉を原料に、他社が扱っていない新たな糖質素材を開発せよ」というミッションを受け、土壌微生物が作り出す様々な酵素をスクリーニングしていました。そんな中で偶然にも、不可能とまで言われていたでん粉からトレハロースを生成する酵素が見つかりました。
当初は甘味料としての販売を考えていましたが、研究の過程で食品の物性改善への応用可能性が示唆されました。
左右対称の安定な分子構造による優れた水和特性から、でん粉の老化抑制、タンパク質の変性抑制、冷凍耐性向上、変色抑制など、さまざまな効果が見出され、1995年に販売を開始しました。
―「ファイバリクサ」も今年10周年を迎えます。
丸田 「ファイバリクサ」はでん粉から酵素反応のみで製造される世界初の水溶性食物繊維素材です。水溶液は無色澄明で、雑味がなく、甘さもほとんどないため、食品や飲料の味や見た目を損なわず、比較的少量でも機能性表示ができるため、コストパフォーマンスが高いこともポイントとなっています。
機能性表示食品制度では「血糖値の上昇抑制」「中性脂肪の上昇抑制」「整腸」という3つのヘルスクレームに対応し、すでに130以上の製品で採用されています。PRISMA2020の対応をすすめており、今後も「ファイバリクサ」の優位性を訴求していきたいと思います。
―研究開発に関する今後の方向性は。
丸田 「トレハ」については、地球温暖化による暑熱ストレスから家畜を保護したり、塩害などの環境ストレスから農作物を保護したりする研究報告があり、畜産や農業を通じたサステナビリティへの貢献が期待されています。
同時に、最近の研究では細胞の自己修復機能であるオートファジーの活性化作用も報告されています。食品の物性改善だけでなく、健康への効果も新たな付加価値になるよう、研究に取り組めればと思います。
「ファイバリクサ」は、食事の味や見た目に影響を与えず食物繊維を付与できるという特性から、病院給食や介護食品といったメディカル分野での採用も増えています。
通常の献立で食物繊維の摂取目安量を満たすことは容易ではありませんので、こうした分野でも「ファイバリクサ」の活用をさらに啓蒙していきたいと考えています。
―ナガセヴィータとしての今後の展望を。
丸田 昨年4月の社名変更に合わせて「生命に寄り添い、人と地球の幸せを支える」というパーパスを策定しました。
これらの機能性素材を通じて、人々の健康や暮らしの質を高めると同時に、サスティナビリティにも貢献することが当社の使命です。
今後もこうした理念に基づき、素材の研究開発に取り組んでいくことで当社の使命を果たして参ります。
―ありがとうございました。
※「トレハ」および「ファイバリクサ」はナガセヴィータ(株)の登録商標
↓↓↓ 購読(電子版・紙版)のお申込みは以下よりお願いします ↓↓↓
 
                                 
                                                                                             
                                                                                             
                                                                                             
                                                                                             
                                                                                             
                                                                                             
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                    