インタビュー:大賀薬局代表取締役社長 大賀崇浩氏

2021年4月19日
インタビュー:大賀薬局代表取締役社長 大賀崇浩氏

インタビュー:大賀薬局代表取締役社長 大賀崇浩氏

挑み続けるDNA

福岡を中心に、調剤薬局73店、ドラッグストア併設店16店、ドラッグストア15店、化粧品店5店――計109店を展開する大賀薬局。創業119年の老舗に、4年前社長に就任した大賀崇浩社長は、薬局の“差別化”にいち早く着手した。「大賀薬局は時代が求める店に挑み続けてきた」と語る大賀社長。そのDNAは、「薬剤戦師オーガマン」に、スタッフに宿っている。大賀薬局が示す薬剤師・薬局の役割とは、「薬剤戦師オーガマン」が戦う大義は――新世代の薬局の在り方を聞いた。(記事・写真=中西陽治)

――「薬剤戦師オーガマン」は薬局の取り組みとして非常に斬新です。どのように誕生したのでしょうか。

創業時から大賀薬局にはチャレンジするDNAが宿っています。その時流に応じて必要とされるモノやサービスを提供し続ける。今できることにチャレンジしていこう、と自分の引き出しの中にあった事業案に着手したことが始まりです。

今から119年前(1902年)、私の曽祖父の大賀可壮が14歳で福岡県内に「大賀商店」を開店したことから大賀薬局は始まります。創業は、薬、化粧品をはじめ、食料品、衣料品と何でも揃う、万屋(よろずや)でした。

次代の祖父・大賀栄一と薬剤師だった祖母の昌子が薬局のチェーン展開へと広げていったのです。

「大賀薬局」はそれぞれの世代で変化し、時代時代で必要とされたものを提供してきました。

私が社長就任した際「伝統を守りつつ大賀薬局の今後の柱になるような事業を作る」と一つのテーマを掲げました。

社長就任当時、世界中を見渡しても「薬剤師」を掲げたヒーローはいなかった。そこで“薬剤師のヒーローっておもしろいのでは”と考えました。次に考えたのが、ヒーローが戦う大義です。薬剤師が戦うべきは通常ならば病気、と思うところですが、もっと社会的な意義を込めて「残薬問題」にしました。

――非常に大きなテーマですね。

薬剤師誕生の理由の一つに“医療費削減”があります。現在も、医療費は高騰しています。その問題解決に“薬局やドラッグストアは役割を果たせているのか”というメッセージを込めたのです。

今の子どもたちが大人になる時に日本の医療体制は大丈夫なのか――

「医療費や社会保障費が増えている」と言っても、テーマが大きすぎてわかりにくいから子どもが興味を持てないのは当たり前です。そこで「医療費削減って薬を減らせばいいんだよ」と分かりやすく「減薬」を伝えられれば、と思ったのです。

大賀薬局では薬剤師全体で「減薬」に取り組んでいます。単に薬局から生まれたヒーローでは弱いと思ったので、薬剤戦師オーガマンは「薬を減らす」ことを大義として掲げています。薬を減らす一歩目は、残さず飲む「残薬問題の啓蒙」とし、これを「薬育」と名付けました。

「薬剤戦師オーガマン」は大賀薬局のオリジナル「薬育手帳」で楽しんで残薬問題に取り組める活動からはじまりました。薬を飲めたらシールを貼るすごろくのような手帳です。

「薬育手帳」を武器にして戦う「薬剤戦師オーガマン」は、分かりやすく残薬問題を伝える事と、薬剤師が取り組む「減薬」という大義を掲げて、幼稚園などの施設を回ってショーを通じて薬育を広げていくことを目指して誕生したのです。

――「薬剤戦師」は思いもよらないアイデアです。

たまたま私がヒーロー好きだっただけで偶然です。偶然とはいえ、特撮などのサブカルチャーは日本の強みだと思っていたので、今後海外に進出する際にもMADEINJAPANの武器になると期待しています。

特撮は子どもたちから絶大な人気がありながらアニメなどに比べると海外には競合が少ない。

変身して戦う文化はどの国にもあって、土壌があるならば世界的にヒットするコンテンツになりえると思いました。

昨年マレーシアにグループ会社を立ち上げ、海外事業も盛り上がってきています。

「薬剤戦師オーガマン」のイメージは海外でも好評で“薬剤師ヒーロー”は、健康やヘルスケアのテーマとしても響く事がわかってきました。

「大賀薬局」の全国的な知名度も上がっており、福岡以外でも「あのオーガマンの大賀薬局さんですね」と認知され、採用や対外的な部分でプラスになっています。

――店舗運営にも変化が起きています。

差別化するため、私が創造しうるフォーマットをプロジェクト化し着手しています。

商品も含めて、新しいサービスを生み出す事業にするべく、チャレンジ制度を導入し、2020年2月に新商品開発部(現在は新事業開発部)を立ち上げました。

「大賀薬局」でしかできないことを武器に差別化をしていきたい――“競争軸を変える”ということです。戦わずして、違う土俵でチャレンジしたい気持ちが強くあります。厳しい商環境だからこそ、歯を食いしばって未来投資をしていきたい。

「挑み続けるDNA」を旗印にオリジナリティのある商品やサービスを開発していきたいと思います。