インタビュー:SOO・平野健二社長(後編)

2021年4月19日
インタビュー:SOO・平野健二社長(後編)

新時代を展望するマーケティング企業SOO!平野健二社長の視点(後編)

DEEP DATAを活用し、ユーザーと商品を結びつける

〜たった一人のかけがえのない消費者のために〜

前号に引き続き、今号でも日本全国のローカルチェーンドラッグが加盟するマーケティング企業・「Segment of One & Only」、通称SOO(エス・オー・オー)の経営トップを務める平野健二さん(サンキュードラッグ社長兼CEO)のインタビューを掲載する。SOOのコンセプトに加え、商圏変化や人口減などへの対応、そしてID-POSから得られる「DEEP DATA(ディープデータ)」についてお聞きした。(聞き手=佐藤健太)

――社名「Segment of One & Only」の由来をお聞かせください。

「Segment of One & Only」という社名は、約20年前にマーケティングの世界で「Segment of One」という言葉が生まれたことがきっかけになっています。その“One”は“一人”ということを意味します。世の中が裕福になり、生活様式が多様になっていくと、セグメントがどんどん増え、増えるほどに一つのセグメントの構成員が減っていきます。最終的には「一人ひとり違う」という考えに行きつき、一人ひとり個別にアプローチ(One to Oneマーケティング)する必要性が出てきます。これが「Segment of One」という言葉の由来であり、私もその通りだと思います。

英語で「You are my One and Only」という言葉がありますが、これは好きな人を口説くときに使う言葉です。「君は僕のたった一人のかけがえのない存在なんだよ」という意味ですが、SOOという社名には「Segment of One」と「You are my One and Only」をかけあわせ、「たった一人のかけがえのないお客さまにアプローチできるマーケティングを考えていく会社です」という思いが込められています。

――SOOは、一人のお客さまを深く知り、マーケティングに落とし込むべくID-POSの活用に注力していますね。

ID-POSが登場したことによってお客さま一人ひとりの購買行動が認識できるようになりましたが、ID-POSというツールを、どのように活用すればいいのか分からない小売企業さんやメーカーさんは多くあるように思います。さらに、商品が増加し、お客さまにも多様性が出てきたことで、従来の小売り理論が通用しなくなりつつあるという現実もあります。

例えば、これまでは「店内の客導線を伸ばすほど、客単価と共に売り上げも上がる」ということが当たり前のように語られてきました。確かに、客導線が長くなれば、お客さまが商品のベネフィットを理解して「売り上げ=客数×客単価」といて初めて通用する理屈です。

1960年代70年代のように、商品が少なかった時期は商品の使い道をお客さまは理解していました。ですが、80年代以降になってくると1つのカテゴリーに対して商品があまりにも多くなりましたので、「一体この商品は隣の商品と何が違うのか?私に対して何をしてくれるのか?」ということが分からない状態となりました。分からない商品の前をいくら通過していただいても売り上げにはつながりません。つまり商品の価値伝達が不可欠であるということです。

――平野さんは講師としても活躍していますが、その中で「DEEPDATA」の活用を提唱されています。

「売り上げ=客数×客単価」という公式も通用しなくなっています。客数は「ユニーク客数×来店頻度」であり、客単価は「1回客単価×来店頻度」になっており、よく見てみると、客数も客単価も来店頻度の関数になっていることが分かります。ユニーク客数は、マクロで見ると人口減少、ミクロでも高齢化による行動範囲縮小や狭小商圏化の加速によって減っていきます。そう考えると1店舗あたりのユニーク客数はどんどん減少していきます。ということは、「来店頻度を上げるしかない」という答えに結びつきます。

「売り上げ=客数×客単価」というのはPOSの時代の言葉であり、ID-POSが出来て初めて来店頻度やユニーク客数を測定できるようになりました。私は「売り上げ=客数×客単価」という公式を間違っていたと言いたいわけではありません。ですが、ITの進化と商圏環境の変化に合わせて公式を書き換える必要があると考えています。

SOOの考えでは、来店頻度を増やし、年間客単価を高めるためには、ID-POSを活用し、お客さま一人ひとりの購買行動から潜在需要を読み解くこと、つまり、「DEEPDATA」を活用し、商品とお客さまをつなげることがとても重要だと位置付けています。狭小商圏化と人口減少社会において、「DEEPDATA」の必要性はさらに高まっていくことでしょう。ぜひ多くのローカルチェーンのドラッグストアさん、そしてメーカーさんにも参加していただき、一緒になって日本の小売業を盛り上げていきたいと思っています。(完)