シンガポール、原発事故による輸入規制を完全撤廃

2021年6月21日
シンガポール、原発事故による輸入規制を完全撤廃

 5月25日に電話会談で行われた菅義偉首相とシンガポールのリー・シェンロン首相による日・シンガポール首脳会談で、リー首相が「東日本大震災以来継続していた日本産食品に対する輸入規制の撤廃」について表明していたが、これについて5月28日にシンガポール政府より通知があり、ついに完全撤廃となった。


シンガポール、原発事故による輸入規制を完全撤廃

 野上浩太郎農林水産大臣は5月28日、閣議後の記者会見で、福島第1原子力発電所事故後の日本産食品に対するシンガポールの輸入規制が同日付で完全撤廃されたことを明らかにした。

 シンガポールは、福岡第一原発の事故後から、福島県の水産物、林産物および牛乳・乳製品、食肉・卵・野菜・果物とその加工品、緑茶およびその製品などに対して「指定検査機関作成の放射性物質検査報告書」や「政府作成または商工会議所作成の市町村単位の産地証明」の提出を要求しており、福島県以外の都道府県においても「政府作成または商工会議所作成の都道府県単位の産地証明」を要求していた。

 今回の完全撤廃により、福島県以外の都道府県においても産地証明等の書類はすべて不要となる。日本は、2020 年のシンガポール向け食品・農林水産物の輸出額において、世界第8位の295 億円(アルコール飲料、牛肉、小麦粉他)となっているが、今後さらなる輸出増加が期待される。

 また、未だに14の国・地域で原発事故による輸出規制が残っている※1が、野上農水大臣は科学的根拠に基づいて、規制を緩和・撤廃するように農林水産物・食品輸出本部の下、また、あらゆるレベルで粘り強く働きかけていくとコメントしている。

※1【一部の都県等を対象に輸入停止】香港、中国、台湾、韓国、マカオ、米国

【一部または全ての都道府県を対象に検査証明書等を要求】EUおよび英国、EFTA(アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン)、仏領ポリネシア、ロシア、インドネシア


シンガポール、今年4月のCPIが2.1%上昇

そのシンガポールでは統計局が5月24日に今年4月の消費者物価指数(CPI)上昇率を発表した。上昇率は前年同月比2.1%増で、上げ幅は2014年5月以来の高水準を記録した。

新型コロナウイルスの影響に伴う経済・社会活動の制限で、昨年は前年同月比0.7%減となっており、その反動が出た形となった。コアインフレ率(運輸や住宅など政府の政策の影響を受けやすい項目を除外したインフレ率)は0.6%で、1年4カ月ぶりの上昇幅となった。

分野別のCPI上昇率をみると、ヘルスケアは0.9%の上昇であったが、その中で医薬品、健康製品は0.7%の減少であった。食品(レストランなど飲食店、配送サービスなどを除く)は、0.6%上昇であったが、生鮮食品は全体的に減少であった。そのほかの分野では、運輸が9.7%と大きく上昇した。これは主に自動車の販売価格高騰と、前年同月は全面的に免除されていた道路通行料が21年4月に再び徴収されるようになったことが背景にあるとしている。

シンガポール金融管理局(MAS)と貿易産業省(MTI)は、今後のCPI上昇率について短期的には現在のレート付近に留まり、今年後半には緩和すると予想している。コアインフレ率は、引き続き徐々に伸長するが、最近発表されたコ新型ロナ対策への措置により、潜在的なインフレの回復にわずかな抑制効果をもたらすと予測している。また、2021年の通年のコアインフレ率は平均0~1%、CPI上昇率は前年比0.5~1.5%と予測している。