中国、EC取引監督管理法を改正、5月1日より施行

2021年4月19日

中国、EC取引監督管理法を改正、5月1日より施行

中国国家市場監督管理総局は3月15日、「インターネット交易監督管理法」(EC取引監督管理法)を発表、5月1日より施行する。この「EC取引監督管理法」は、「電子商取引法」を基にしたもので、ECについての法律・法規を具体化し、取引行為をルール化し、ECプラットフォーム運営者の責任を強化して、消費者の権益を守るための具体的な規則が盛り込まれている。

「EC取引監督管理法」は、「電子商取引法」の施行(2019年1月1日)を受けて、既存の「インターネット取引管理弁法」(2014年1月26日)を修正したものだ。主な内容は、①企業登記、②営業許可証などの公示、③プラットフォーム出店者情報の市場監督管理部門への報告、④個人情報や営業秘密などの保護、⑤情報公開、正価表示、架空取引やユーザー評価の改ざん・違法な抱き合わせ販売の禁止、市場支配的地位の乱用の禁止、⑥出店者の真実性確認や出品される商品の検査、⑦消費者権益の保護などで、これらについて「電子商取引法」の内容に合わせて修正、改善を行っている。下位法に当たる同法が正式に施行されることにより、「電子商取引法」の運用が強化される。

中国では、EC関連法規の整備を加速しており、EC事業者などについてルール化を進め、良好な参入環境を整える取り組みが行われている。具体的には、「EC経営者」の市場主体登記の監督、アプリなどで商品を販売するEC業者(微商;WeChatによるEC)および越境EC業者に対する規律の強化、情報公開義務に違反した経営者の取り締まりなどに取り組む。特に、「ECプラットフォーム経営者」に対しては、電子商取引法などに基づいた登記の届け出を進めることや、プラットフォームに出店する事業者の情報の真実性を確認することなどを求めている。

スマホをワンクリックするだけで海外商品の購入が可能巨大な中国の越境EC市場EC先進国に成長した中国では、今やスマホをワンクリックするだけで世界の買い物ができるようになった。近年、特に人気が高いのが越境ECである。日本の商品を注文したら1週間で商品が届く。中国の保税区にある商品だったら翌日に届く場合もある。利用者

の急増に伴い、中国国内外の企業の越境EC参入が急増している。中国には特徴的なECサイト、ネットショップ、オンラインモールが軒を連ねている。昨年からコロナウイルスの影響で、海外からの観光客も激減し、インバウンド景気が吹き飛んでしまった国内企業や観光業の方も多く、インバウンドから越境ECに転換し始める事例も増えている。越境ECは、ボーダーレスな市場にアクセスできるだけでなく、一般貿易で求められる検査や各種許認可取得の簡素化や、優遇税率の適用といったメリットが多く、参入障壁が大幅に下がる。

日本貿易振興機構(JETRO)の発表によると、中国向けに日本酒や化粧品といった日本産品の販売に成功した日本企業も徐々に出始めている。また、中国内陸部の市場を狙って、四川省の成都に拠点を持ち、現地市場を熟知した日系企業も越境EC事業に参入し始めており、沿岸部のバイヤーを経由しないことでコストを削減し、直接内陸市場にアクセスしているケースもあるという。

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