乳がんなどの手術による傷あとをカバーする「バスタイムトップス」

2022年1月7日
乳がんなどの手術による傷あとをカバーする「バスタイムトップス」

ワンコインで購入可能な使い切りタイプ

――「乳がん手術後も温泉に」。こうしたコンセプトを持った入浴着の存在 を薬業界関係者はご存知だろうか。繊維並びに工業製品を軸とする商社・GSI クレオスと畿央大学が共同で企画・開発をした「バスタイム トップス」である。「乳がん手術後、入浴をためらってしまう方々をケアし、一人でも多くの方が入浴施設で楽しめるように」…。同社の願いとこだわりが詰まった商品であり、 本稿では、この「バスタイム トップス」をドラッグストアによる “ ヘルスケア ” にとって、とても重要な役割を担う商品として紹介したい。2016年に「乳がん」と診断された患者数は9万人を超え、罹患率は30年間で約5倍にも増加している。もちろん、予防・治療が大切であるのには間違いないが、術後のケア、そしてその延長上にある生活をいかに充実させていくか。ヘルスケアを中核とした生活基幹業態であるドラッグストアが取り組むべき課題であり、その一つとして「バスタイム トップス」をぜひ活用したいところだ。


乳がん手術後の旅行などで役立つ日本初・使い切りタイプの入浴着

 乳がんなどの手術による傷あとをやさしくカバーする入浴着「バスタイムトップス」。この開発背景には、「乳がん手術後、入浴をためらってしまう方々をケアし、一人でも多くの方が入浴施設で楽しめるように」という願いがある。

 畿央大学健康科学部人間環境デザイン学科の村田浩子教授らが、乳がん患者向けに術後の傷を覆って入浴ができる使い切りの入浴着を発案し、GSIクレオスが素材提供および企画・製造・販売で協力しているという形だ。

 乳がん手術後の入浴着自体は以前から存在しているが、多くが価格5,000円前後のものとなっている一方、「バスタイムトップス」は日本初の使い切り型で、価格も495円と手頃であることが大きな特徴となっている。

増加する乳がん患者重要なのは術後のQOL向上

 国立がん研究センターがん対策情報センターの統計によると、「乳がん」と診断された患者数は30年で約5倍にもなっており、厚生労働省の調査では9万人を超えている。一生の間に「乳がん」になる確率は2018年時点で9人に1人とされている。乳がんは他部位のがんと比べると死亡率が低いという特徴があり、早期発見・早期治療が何よりも重要とされている。

 それと同様に、術後のQOLを高めることも患者にとって非常に大切な部分である。特に、乳がん患者数が上昇するという社会にあって、“ヘルスケアステーション”と名乗りをあげるドラッグストアが術後のケアに取り組むことは、社会的使命であるのは間違いない。

 2016年に村田教授が行なった乳がん術後の女性に対する予備調査では、回答者の約半数が「温泉に行きたくても行けない経験をした」と答え、市販されている入浴着についても半数の人が「知らない」と回答している。

 さらに村田教授が、奈良県のがん拠点3病院に通院する乳がん患者45名に対して実施したアンケート調査でも、入浴着の認知度は術後女性・施設とも低く、「知らない」「あまり知らない」と回答した女性が57%、施設で81%に及んでいる。

 またGSIクレオス・マテリアル部の森田雅彦部長は「乳がん術後の方々には、温泉だけではなく、お子さま・お孫さまと入浴するなど、日常生活でも『できる限り傷あとを見せたくはない』とお困りになられている方はいらっしゃいます」と話す。

「乳がん手術後の悩みに応える」ドラッグストアの社会的使命

 つまり、旅行や温泉などの特別な日と共に、日常的に入浴への悩みを持ち、「どうにかしたい」といったニーズがありながらも、「入浴着」という存在を知らない人たちが多く存在しているということだ。

 このような人たちに、気づきを与え、そして解決してもらう。ドラッグストアはヘルス&ビューティやホームケア、最近では食品までに取り扱いを拡充し、かつてのマンスリー・ウィークリーユースから、デイリーユースに変化していった。

 連日多くの来店客で賑わうドラッグストアという業態が、「バスタイムトップス」を売り場に取り入れ、「乳がん手術後の入浴着を販売している。しかも、ワンコインで購入できる」ということを知らせることは入浴着の認知度向上にも繋がり、直接的・間接的な悩み解決に大きく寄与できるだろう。今後ドラッグストアの取り組みに大いなる期待を寄せたい。

繊維のプロ・GSIクレオスが提供する特殊な機能素材でできた入浴着

 実際に「バスタイムトップス」に触れてみると、柔らかさと肌に馴染む感覚に驚かされ、繊維のプロとして長年取り組んできたGSIクレオスだからこそ商品化できた入浴着であることが理解できる。同社・森田部長は「入浴着は直接肌に触れるもので、お客様が最も気にされると思いますので、肌触りにはとてもこだわりました」と明かす。

 この他「バスタイムトップス」には、「背中がV字カットで体全体が洗いやすい」「生地が伸びる素材なので、着脱しやすい」「湯切れしやすい」「お湯の中で生地が浮かびにくい」「胸のギャザーが左右の胸のバランスを保つ」「フリーサイズ展開で、より多くの方に着用して頂ける」という強みを持っており、導入するドラッグストアは、きちんと売り場を通して、これらを伝えていくことが肝要である。商品ラインナップは、ベージュ・ピンク・グレー・ボーダーと4色が展開されている。

 現在はネット通販や温泉施設などで販売されており、ここにドラッグストアが参入することで乳がん患者のQOLを高めるとともに、ドラッグストアが果たすべき社会的役割にしっかりと対応していきたいところだ。