美味しさと栄養を兼ね備えた高機能性野菜を展開/AML植物研究所

2022年3月28日

海外への進出も強化

 福島県喜多方市に、健康に特化した野菜を水耕栽培する工場がある。工場を運営するのはAML植物研究所。特定の成分含有量を調節した「高機能性野菜」の開発・生産を得意としている。会社の取り組みや商品展開について、担当者に話を聞いた。

 AML植物研究所(東京都渋谷区、☎:03・6865・6537)は、2016年に設立した。現社長(秋山五郎氏)が高機能性野菜の水耕栽培にビジネスとしてのポテンシャルを感じ地方創成と雇用確保を謳ってスタートしたのが2017年だった。その翌年には低カリウム栽培特許を取得。工場には栽培研究室を設け時代を先取りした高機能性野菜の研究開発に注力している。

 同社の野菜は、喜多方の綺麗な水を用いて水耕栽培され、独自の培養液やLED光源の厳密な調整により特定の成分の含有量が調節されている。クリーンルーム内で種まきから栽培、包装までを一貫して行っており、病害虫の侵入がないため農薬は不要。生菌数も圧倒的に少なく、傷みが抑えられ鮮度が冷蔵保存にて約2週間長持ちする。苦みやえぐみの原因となる硝酸態窒素の含有量を通常のレタスの3分の1に減らしており、美味しさにもこだわっている。

高機能レタスの水耕栽培

 当初は、「低カリウム フリルレタス」の生産・販売からスタート。腎臓の機能障害によりカリウムの排泄が十分にできず、カリウム摂取制限を強いられる腎臓病患者を主なターゲット層として販売してきた。現在はそれに加え、より美容・健康で認知の高い栄養素に着目し商品を展開。カルシウムを補給できる「Ca-リッチ リーフレタス」や、それに加えポリフェノールも補給できる「ポリフェノール&Ca-リッチ レッドリーフレタス」がある。

彩りにもこだわった同社の商品

 百貨店の生鮮食品売り場など約400店舗に販路を持ち、「食べチョク」などでの通信販売も行う。コロナ禍による健康志向や衛生面への意識の高まりで、定期購入の顧客も増えているそうだ。洗わず食べられる手軽さは主婦に喜ばれ、クセのない美味しさは野菜嫌いの人や子供からも人気が高い。

 新製品の開発を担当する生野晶子さんは、「毎日の食事で手軽に美味しく健康・美容成分を取り入れられるのが高機能性野菜の強みです。さらに当社のこだわりである“美味しさ”を両立させるため、ポリフェノール&Ca-リッチ レッドリーフレタスの開発では、成分含有量と味の両立に苦労しました。今後は日本全国展開だけでなく、海外進出も強化していきたいです」と語ってくれた。

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