『ニューマーケット創造に挑む』Online(1)

2022年9月13日

老舗企業が展開する穀物ビジネス

グラノーラなどの原料供給からOEM、アンテナショップも運営

東京・有楽町駅前の交通会館前には、さまざまな即売所がある。並べられているのは、大半が地方の物産だ。通常は、昼食時でなくとも多くの人が集まっているが、新型コロナウイルス感染が発生して以来、人出はまばら状態だ。だが、馴染み客が定期的に訪れる店舗がある。館内に出店する穀物専門のファクトリーショップ(穀物繊維倉庫)だ。店頭には、雑穀、大麦に加え、近年人気のシリアル(グラノーラ、オートミール、ミューズリー)など、食物繊維タップリの穀物を普及する基地でもある。山梨県上野原市長肝入りの『キヌア』も取扱商品に仲間入りしていた。穀物は、いっけん地味な商材だが、マクロビオティック運動(正食運動)に関心のある人や、自然食を愛する人たち以外にも腸活対策や美容食として、需要は増えている。

食物繊維の商社機能を持つ穀物メーカー

 穀物専門のファクトリーショップを運営するのは、株式会社ライスアイランド。店内を一通り見て感じたことは、
「これだけの素材(穀物)があれば、ドラッグストアや調剤薬局で、PB商品による色とりどりの腸活コーナーが開設できるのでは」と思った。


 創業は118年前の明治35年(1902年)。米の卸から出発し、1988年株式会社ライスアイランド(小塩貞子代表取締役)を設立。仕入れから販売までを一貫して行う商社機能を持つ穀物メーカーとなった。
 取り扱うのは、あわ・ひえ・きび・黒米・赤米・紅きび・はと麦・アマランサス・キヌア・チアシード・発芽玄米・玄麦・白麦・米粒麦・はだか麦・丸麦・きき麦・押麦・黒ごま・大納言小豆・ひよこ豆・黒大豆・青大豆・大正金時豆・虎豆・レンズ豆・白花豆・白いんげん豆・五種雑穀米・十種雑穀米・十二穀・十六穀・雑穀一般・大豆・大麦・ライ麦・オーツ麦・シリアル・ミューズリー・グラノーラ・命の食事雑穀玄米等々…。
 主要な販売ルートは、デパート、自然食品専門店、通信販売を対象にオリジナル商品を供給しており、有楽町のアンテナショップから新商品情報が発信されている。

創業者が留学先で出会ったライ麦中心の食生活

 同社のルーツは、虚弱体質だった創業者が、19才の時にドイツに留学し出会ったのがライ麦中心の食生活。
 体質が変わったことによって、穀物に含まれている食物繊維の大切さに気付いた創業者は、普及することを決意したのが発端だったという。
 同社が開発した初の商品は、農家の話をヒントにした発芽玄米だった。
 やがて加工穀物会社としての経験を生かして、国内外から素材を調達して、製造・加工・PB・OEMにも力を注いできたのだ。

流通ジャーナリスト 山本武道