「ニューマーケット創造に挑む」Online(3)

2022年10月13日

市場拡大が見込まれる生鮮食品の機能性表示食品

近年、野菜や果物、魚、肉といった生鮮食品に機能性を表示する企業が増えてきた。生鮮食品の機能性表示食品は、トマト、ミカン、葡萄、バナナ、リンゴ、ケール、パプリカ、メロンなどの野菜と果物に加え、魚や地鶏、豚肉など。日常の食生活の食卓で食べられている生鮮食品に機能性素材をプラスしたものだが、ただ生活者が何気なく食べていた食品が、機能性表示食品として売り場に登場しても、生活者たちは、いったいどのようにして入手することができるのだろうか。生鮮食品を取り扱うスーパーマーケット、食品の取り扱いを増やすドラッグストアでも、生鮮食品の機能性表示食品はほとんど見かけない。せっかく、体に良い機能が表示されていても、店頭に陳列されていなければ、生活者が購入するすべはない。唯一、通販やインターネットを通じ販売されているが、通常の食品と違い、販売時には、スタッフの一言が不可欠になる。では、これから生鮮食品の機能性表示食品を、どのようにして生活者にアピールし購入に結びつけるのか。販売ルートの開拓も含め、早急に考えなければならないだろう。

発売以来、食品の取り扱いを増やすドラッグストアから問い合わせが相次ぐ

生鮮食品としての機能性表示食品第一号はミカンだったが、どれだけの販売量に達したかは定かではない。
 日常の食生活で食卓に生鮮食品は欠かせない。その消費量は膨大だが、この生鮮食品をターゲットに、機能性表示
食品として消費者庁に届け出た企業は増えてきた。

 だが、生鮮食品の機能性表示食品は、いったいどのような販売ルートで販売されているのだろうか。スーパーマー
ケットやドラッグストアの売り場に陳列されているケースあまり見かけない。


 機能性素材GABAを配合した機能性表示食品バナナを発売したドール社には、多くのチャネルから問い合わせが
相次ぎそのなかに、ドラッグストアもあった。
 同社では、日本バナナ輸入協会が定めている8月7日の「バナナの日」に、需要を喚起するために、豊富なラインアップで、ドラッグストアルートにも応需するという。

「ドールのバナナは、初の機能性性表示食品であることに加え、食べやすさ、美味しさが好評で売れ行きは好
調」(ドール担当者)と語る。
 同社の『機能性表示食品バナナ』は、バナナ1〜3本(可食部120グラム)に対し、1日当たりの推奨量の半分のGABAが含まれている。

 豊富な栄養素に「高めの血圧を抑制する」機能を加えたことで、生活者の健康ニーズに幅広く対応している。
 さて機能性表示食品とし受理された生鮮食品は、ミカン、葡萄、バナナ、リンゴ、ケール、パプリカ、もやし、ほうれん草、メロンなどの野菜と果物に加え、魚や地鶏、豚肉等々、これから日常の食生活に欠かせない商材として、各社はどう普及していくのだろうか。

流通ジャーナリスト 山本武道

(「ヘルスライフビジネス」2020年10月1日号掲載)