健康食品の広告・販売 規制事例の分析と研究(2)

2022年11月9日

※「ヘルスライフビジネス」2022年2月1日号掲載の記事です。                        1月20日に消費者庁は、二酸化塩素でのウイルスや菌の除去効果を標ぼうした製薬会社の広告が優良誤認表示に当たるとして措置命令を出した旨を公表した。命令の内容は消費者庁のサイトですべて閲覧できるし、処分の理由も明確なので当欄での解説は割愛させて頂く。それに代えて、昨年末にウェブ上で開催された都の健食事業者向け講習会で消費者庁へルスケア表示指導室長が行った講演から、実務に役立つ内容を紹介・解説する。講演では、最近の措置命令20例に基づいて処分理由が説明された。それを分析すれば処分対象の優先順位がわかると筆者は考えている。

措置命令の対象になりやすい広告の種類と内容の検討

圧倒的に多い容姿の改善に関する広告の処分

処分例の少ない広告の場合もその意図は明確

措置命令を受けた広告20例の種類の区分

 消費者庁の健食広告規制の所管部署が、健食事業者向けの講習会で20例の措置命令とその処分理由を示したのは、そのような広告が優先して処分することの警告であると理解するべきだと筆者は考えている。

 20の措置命令を筆者の理解によってその広告の内容を区分すると、次のようになる。

一般健食広告

「痩身効果 6例」「豊胸効果 1例」「体重増量効果 1例」筋肉増強と痩身の効果 1例」「豊胸と痩身の効果 1例」「白髪を黒くする効果 1例」「妊娠しやすくする効果 1例」「免疫、感染症に関する効果 2例」「認知症などの難病に関する効果1例」計15例

その他の広告

「キノウ広告での痩身効果 1例」「育毛剤の育毛効果 1例」「化粧品のまつ毛伸長効果 1例」「雑貨の塗布による痩身効果 1例」「№1表示に関する表現 2例」「水素水生成器生成の水素水の難病に関する効果 1例」計7例 

合計すると20例を超えるのは、効果を重複して数えたためである。

容姿改善表現の処分に関する検討

前項での区分を整理すると、「痩身」「豊胸」「体重増量」筋肉増強」「白髪の改善」「育毛」のような容姿の改善に関する効果と、免疫力の強化や難病への効果に大別できる。

 処分数の比較だけで言えば、痩身効果を筆頭に容姿の改善に関する効果に対する処分が圧倒的に多い。これは、当然、消費者庁が容姿改善効果に関する広告規制を優先しているためである。根拠がないのに、容姿改善効果を期待して商品を購入する消費者の被害を防ぐことが、優先理由であるのは言うまでもない。

そこで、今回示された処分例で、容姿改善に関してどのような表現が対象になっているかを紹介しよう。

文字の表現では「-12.8㎏以上をお約束します」のような効果の保証表現の他に「中性脂肪の分解をサポート」のような薬機法でも規制される表現の使用も、処分理由とされている。

 商品摂取の前と後を比較した写真やイラストを使用したり、文字でなく写真やイラストで効果を強調する表現方法は、文字の表現に劣らない誤認させやすい表現として、処分理由とされている。

容姿改善表現以外の処分理由の分析

 容姿改善表現以外の表現の処分数は少ない。しかし、個々の処分例を分析すると処分理由が理解できる。

 免疫力強化、感染症の予防、妊娠できる効果の表現は、消費者の関心の高いものであることが処分の理由であると容易に推測できる。また、規制逃れのために行われる工夫も処分の理由とされている。規制逃れの工夫とされるものは、今回示された処分例でみると、次の2つに区分できる。

 1つは、商品の紹介と効能効果表現の媒体を異なるものにする方法である。ウェブ上の広告では商品の紹介に止め、それを閲覧した消費者に別送する冊子で効能を説明するような手法が処分対象とされている。

 他の1つは暗示表現に対する処分である。筆者は、明示でなく暗示することによる規制対象外になることへの期待が、暗示表が規制される理由だと理解している。

 それ以外に、届出表示との類似表現や、医薬品広告が禁止される体験談の紹介も優先して処分されている。

打消し表示が処分される理由の検討

 今回示された処分例で効果の体験談が処分理由とされている場合、それに付された打消し表示も処分理由とされている。その打消し表示の内容を整理・区分すると次のようになる。

①「個人の感想であり体感には個人差があります」

②「個人の感想であり、効能効果をあらわすものではありません」

③「個人の感想です。効果には個人差があり、すべての方に同等の結果をお約束するものではございません」

これらは付けられた体験談と併せて処分理由とされたものであって、打消し表示だけが処分理由とされたわけではない。従って、体験談が処分されるものでなければ、付けても処分理由にならないことになる。

 このように打消し表示だけが処分理由にならないのであれば、付けても付けなくても規制上の判断に違いはないかと言うと、違いはあると筆者は理解している。

 打消し表意を付ける広告主の心理が、体験談が規制されないことの期待にあるとすれば、これも規制逃れの工夫とされても仕方ないだろう。その表現内容も、上の①よりも②や③のほうが悪質とされやすいと思われる。意図的でないとしても使うべきではない。