トモズ親会社の住友商事が薬樹を子会社化

2023年3月31日

止まらぬドラッグ企業の調剤薬局への接近

 ドラッグストアのトモズを事業会社に持つ住友商事は、首都圏を中心に調剤薬局を展開する薬樹の全株式を2023年3月31日付で取得したことを明らかにした。ドラッグストアにおける調剤ニーズが拡大する中で、企業の視線は調剤薬局に向けられている。

 薬樹は首都圏を中心に約150の調剤薬局を展開し、売上高は298億円(2022年6月期)。薬剤師 750名、管理栄養士84名を擁する調剤薬局チェーン。

 住友商事は今回の株式取得による子会社化について「薬樹は未病・予防や在宅調剤などに先進的に取り組んでおり、今後、調剤併設ドラッグストアを展開する住友商事グループのトモズとのノウハウ融合、シナジー発揮により、地域医療に貢献し、人々の健康を支える取り組みを強化していく」としている。

トモズは人事異動も発表し新体制へ

角谷新社長

 トモズは調剤併設型ドラッグストアを首都圏を中心に展開しており、かかりつけ薬局機能に強みを持つ。

今回の住友商事による薬樹の子会社化に先んじて、トモズは3月30日付リリースで角谷真司氏が新たに代表取締役社長の就任内定したことを発表したばかり。角谷氏は住友商事よりトモズへ出向となる。

 これまでトモズの陣頭指揮を執ってきた德廣英之氏は、住友商事ヘルスケア事業本部長へ異動し(3月16日発表の住友商事「主管者級人事異動および機構改正に関するお知らせ」より)、調剤併設ドラッグ事業で振るった手腕が、子会社化した薬樹とどのように関わっていくか注目が集まる。

「ヘルスケア」を成長戦略に据える住友商事

 住友商事は、中期経営計画「SHIFT 2023」において「ヘルスケア」を次世代成長戦略テーマの一つに掲げ、国内でドラッグストアの展開を含む地域包括ケアシステム関連事業、海外ではマネージドケア事業※などに取り組んでいる。医療機関でのDX推進や医療データを活用した事業なども組み合わせ、個人のQOL向上に資するサステナブルなヘルスケアシステムの構築を目指している。

※マネージドケア事業
主に公的医療制度が充実していない国で発展しつつある管理医療システム。企業・民間医療保険会社、マネージドケア事業者、医療機関の三者が連携して医療サービスを提供する仕組み。

グループ横断でのシナジー効果創出に注目集まる

 住友商事グループ横断で、スーパーマーケットのサミットとトモズの連携も進んでいる。2021年3月には、改装オープンしたサミットストア鳩ヶ谷駅前店で「健康コミュニティコーナー」、通称「けんコミ」の実証実験を開始。一店舗の中で栄養アドバイスを受け、食材の購入までができる「ワンストップ型の健康支援店舗」に注目が集まった。今後薬樹が住友商事グループに加わることで、更なるシナジー効果創出に着手するものとみられる。