【インタビュー】PRISMA2020への対応が焦点に

2023年4月17日

薬事法マーケティング事務所 代表 渡邉憲和氏

今春で施行から9年目に突入した機能性表示食品制度。本紙では、機能性表示食品の届出に関して650件以上のサポート実績を持つ薬事法マーケティング事務所(東京都千代田区、https://yakujihou-marketing.co.jp/)代表の渡邉憲和氏に最近の傾向や制度に関する今後の課題などを聞いた。

―これまでの制度を振り返って。

渡邉 施行から8年が経過し、消費者庁側も届出事業者側も大分この制度に慣れてきた印象があります。その分、初期の頃は問題とされなかった箇所が最近になって指摘を受けるケースもあるなど、届出チェックもより精密になっています。

届出受理件数が6500件を超え、機能性表示食品の市場全体としては新製品を増やすよりも、すでに受理された製品を成長させる段階に来ているのではないでしょうか。

とはいえ、新しい関与成分やヘルスクレームに関しても未開拓の分野はあると思いますので、当社としてはその辺りのサポートにも力を入れています。

―具体的にはどのような分野が期待できますか。

渡邉 関与成分では、「エキス等」を用いた届出が少しずつ増えてきました。これは届出に必要な条件が明確になってきたことに加え、他社に真似されない製品を開発できることが大きなメリットです。

専ら医薬品成分を用いた生鮮食品や一般食品も受理件数は少ないですが、やはり体感性で差別化ができるため、今後増えてくることが予想されます。

また、最近では海外の企業から機能性表示食品の届出を行いたいという依頼が増えてきました。

国内では流通していない原料で届出を検討しているケースもあり、新規性の高い製品が登場してくるかも知れません。

現在、トクホやエイキを含めた保健機能食品の見直しも議論されていますが、機能性表示では現状認められていないビタミン・ミネラルに関する表示が緩和されれば、欧米企業の参入も増加する可能性もあります。

―機能性表示に関しては、ガイドライン改定の話題もあります。

渡邉 ガイドラインが公開されるまで確定的なことは言えませんが、次回の改定ではシステマティックレビューのガイドラインである「PRISMA声明2020」への対応がポイントとなるようです。「PRISMA声明2020」では、SRの際に複数の論文を用いたメタアナリシスを行うことがより推奨されています。

ただし、論文1報で届出されている製品も多数受理されており、必ずしも複数の論文がなければ届出できないということにはならないでしょう。

一方、論文がポジティブ・ネガティブ含め複数の論文が存在する成分の場合はメタアナリシスへの対応など届出内容の見直しを検討することが望まれます。メタアナリシスへの対応などにご不安のある企業の方は、ぜひ当社にご相談いただければと思います。

―ありがとうございました。

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