【記事連載】注目の新商品「おやつサプリ」/おやつカンパニーに聞く

2023年8月10日

「ベビースター」でおなじみのおやつカンパニー(三重県津市)が、ウェルネス系菓子の展開に注力している。4月に発売を開始した「おやつサプリ」は、栄養成分を配合した一口サイズのスナックで、ドラッグストアを中心に好調な売れ行きだ。開発エピソードや今後の展望などを、営業本部東京支店長・楠和也氏、マーケティング戦略2部部長・香川玲子氏、広報担当・諸岡氏に聞いた。

‐発売開始からの手ごたえを教えて下さい

 「おやつサプリ」は、気になる成分をおやつとして気軽に摂れるサプリメント感覚のスナックです。全国の消費者に対して行った大規模調査をもとに開発を行い、①チーズ味、②野菜コンソメ味、③ペッパーソルト味の3種類をラインアップしました。ドラッグストアを中心に、スーパーマーケットやECサイトなどで流通しており、好評です。

 当初は、健康意識の高い30~50代の女性をターゲットとして販売を開始しましたが、男性がGABA配合商品をよく購入されるといった傾向や、シニア女性からのニーズなど、想定とは異なった顧客情報も積みあがってきています。

‐「おやつサプリ」開発のきっかけは何ですか

 人口減少の時代、菓子業界で生き残っていくためのポジションを模索するなかで着目したのが「健康」でした。

しかし、移り変わりの激しい菓子業界では健康訴求の菓子がなかなか売れないのも事実で、多くのメーカーが挑戦してきたものの、定着には至りませんでした。

 そのようななか、当時、タンパク質の市場拡大に目を付けたマーケティング担当者が中心となって、プロテインスナック「BODY STAR」を2021年に発売しました。チートデー以外にもお菓子を食べたい!という消費者の想いを形にした商品です。正直社内では「売れるのだろうか…?」といった声もありましたが、塩味を持つプロテイン菓子の目新しさもあってか、ヒット商品となり、リピート購入73%という結果も出ました。

 この手ごたえとともに、コロナ禍における健康志向の高まりがひとつのきっかけとなり、「おやつサプリ」の開発に至りました。

‐こだわりポイントは

 菓子を開発する際に行う消費者アンケートでは、一般的に菓子に対する不満点を聞く形になります。そうするとどうしても「塩分が気になる」「油が体に悪そう」といった声があがり、健康志向の菓子はオフ系になってしまう傾向があります。例えば、減塩やカロリーカットの菓子などですね。しかし、味や食べ応えも商品価格も、消費者がスナックに求めるものと乖離することもあり、「そこまで我慢しなくても良いか」と定着しません。これが先ほど申し上げた健康訴求菓子が定着しない要因のひとつです。

 私たちは今回、その発想を「足す」という方向に転換し、商品に機能性成分をプラスオンした「おやつサプリ」を開発しました。この発想も、実際に消費者調査で、「スナック菓子の喫食頻度が高い人ほど、サプリの使用頻度も高い」という結果に基づいたものでした。意外にもこの点が、これまでの健康菓子との大きな差別化点だと思っています。

乳酸菌やGABAを配合

‐インパクトのある商品名ですよね

 数十の候補があがりましたが、最終的にシンプルな商品名になりました。「おやつ」と「サプリ」という対照的なものが一緒になっているネーミングの強さがあります。また、お客さまと商品との最初のコンタクトは「見た目」なので、手に取るときにまず「美味しそう」と思ってもらえるようなパッケージに工夫しています。

‐今後の展望は

 すべての商品が機能性表示食品に切り替わる予定です。商品の良さをしっかりとお客様に伝えるために、必要だと思っています。また、商品ラインアップも拡充します。 “おやつで心と体を満たしたい”という理念のもと、お客さまの求める商品開発を進め、「健康菓子といえばおやつカンパニー」の地位を確立していけたら良いなと思っています。

‐ありがとうございました

左から諸岡氏、香川氏、楠氏