タイ、段階的な税率で〝塩税〟の導入へ
対象製品を特定しナトリウム含有量基準を設定する方針
タイの財務省物品税局は、今年4月1日から施行された「砂糖税」に続き「塩税」の導入も検討していることが分かった。
タイ国内大手メディア・ネーションによると、タイの物品税局は、今年4月1日に全面施行された「砂糖税」に続き、新たに「塩税」の導入の計画を進めている。同局では、この塩税に砂糖税と同様の〝段階税率構造〟を採用することを明らかにしており、物品税局長のクラヤ・タンティテミット氏は「公衆衛生の向上を目的とした塩税の導入を検討している」と述べている。
すでに保健省、食品・飲料メーカー、タイ食品医薬品局(FDA)、タイ工業連盟、そして塩分消費量の削減を推進する団体など主要な関係者と協議を進めており、現在のマーケット状況にうまく適合するよう努めているようだ。
クラヤ氏は、「WHOのガイドラインでは、1日あたりのナトリウム摂取量は1人あたり2,000mgを超えてはいけないとされていますが、タイ人はその2倍以上の1日あたり約3,600mgを摂取しています。健康問題を防ぐため、税制政策をツールとして活用し、生産慣行と消費者行動の両方に影響を与える予定です。メーカーのコストへの影響は最小限に抑えることを目指しています。」と話している。
最新のデータでは、タイでのナトリウム含有量の高い商品トップ3は、インスタントラーメン、スナック菓子、冷凍食品となっており、物品税局では、今後対象製品を特定しナトリウム含有量の基準を設けていく方針で、日常生活に不可欠な食品においても特別なガイドラインの適用を検討している。
すでに施行されている砂糖税について、政府はその効果を評価
今回の塩税が参考にしている砂糖税については、段階的に税の引き上げを実施しており、現在は第4段階に入っている。法定基準値に従って砂糖含有量を削減しない製造業者は、1リットルあたり最大5バーツの税率引き上げが適用されるなどしており、多くの企業がすでに砂糖含有量の削減を実施している。また、健康的な選択肢を簡単に識別できるように設けられたヘルシーチョイスの栄養ラベルを取得した製品が2017年まででわずか216製品だったのが、2023年3月の時点で1863製品に急増しており、健康的な食品へ市場が大きくシフトしている。
チュラロンコーン大学商学・会計学部マーケティング学科長兼ブランディング・マーケティング修士課程主任のアケ・パタラタナクン助教授は、「企業の観点から見ると、税負担が価格上昇という形で消費者に転嫁されるかどうかが大きな懸念事項の一つですが、短期的には、メーカーは税負担を軽減し健康志向の高まりに対応するため、砂糖とナトリウムを減らした製品の開発に注力し健康食品セグメントは競争が激化することが考えられます。また中長期的には、健康トレンドが市場の方向性を決定づけ続けるでしょう」と分析している。また、保健社会福祉省副長官のアディソン・ヴァッタナサック博士は、「健康的な塩分摂取についてよく理解していたのはわずか15%で、過剰な糖分や脂肪の危険性についての認識よりも大幅に低かった」と、特に高ナトリウム摂取に関連するリスクに関して、タイ人の栄養知識の欠如を指摘した。
塩税については今年中の導入を計画しており、企業では早急な対応が求められている。
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