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効果を書きたいなら医薬品の許可を取りなさい(212)
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5月9日土曜日が来た。永田町の衆議院第一議員会館で開かれた土曜協議会は人で溢れていた。思っていた通り、ズラッと並んだ行政関係者の中で業者から質問が集中したのは厚生省の薬務局の担当者だった。質問の中身は薬事法の指導マニュアル「46通知」で規制の変更を要求する意見が大半で、春から厚生省がこのマニュアルの改正を検討しているのだから当たり前の話ではある。
この中からいくつかを紹介する。例えば用法・用量に関しての質問である。摂り方や使う量をマニュアルでは「用法・用量」として、許可を受けた薬にしか表示してはならないとしていた。ところが健康食品が「食前、食後に〇〇粒お飲み下さい」と表示しただけで、違反に問われる。しかし瘦身に食物繊維を使う場合、食前に水と一緒に食べて胃を膨らます。満腹感を得て食事の量をある程度抑えるというやり方がある。これは血糖値の抑制にもこれは必要である。これは繊維の多い野菜などでも同じだし、糖を食事の前に摂って血糖値を上げ、食欲を抑えるダイエット法もあった。
業者の主張では、これは薬の「用法」ではなく、食品としての「食べ方」であるというのだ。そしてその量は食べ過ぎても少な過ぎてもいけないので表示する必要がある。これは医薬品の「用量」ではなく、食品の「食べる量」として表示する必要があるので、薬の法律で規制するはおかしいと主張する。至極真っ当な主張だが、マニュアルでは表示は許されていなかった。
すると、行政の方は「食べ方、食べる量と書いてあるから薬事法違反と関係ないとは言えない。しかし、誰が見ても誤解されるおそれがないならかまわないと思う」と言う。では表示して良いのかと言うと、実際は認めようとはしない。
さらに医薬品であれば「医薬品」と商品に表示し、食品であれば「食品」と書けば、消費者が健康食品を医薬品と誤認することはないと言う意見も出た。ところが実際は清涼飲料のようなドリンク剤に「医薬品」と言った表示がないと指摘すると、薬務担当者はやや気色ばんで、「医薬品の方は効能効果が書いてあるから十分それで分かる」と言い放った。お前たち生意気を言うんじゃない。ドリンク剤が医薬品なのは誰でも知っているんだ。医薬品に医薬品と書く必要などない!それを食品が真似をするから規制しているんだぞと言わんばかりである。ただし「健康食品の場合、食品と書くのも一つの手かと思う」と言い直した。
これについては後年、規制緩和を図る米国と日本の行政担当者の話し合いの席で取り上げられた。米国側から医薬品は「医薬品」と書けばよい、健康食品は「健康食品」と書けば良いのではないかと言った意見が出た。しかしそれでは解決出来ないという日本側に頑な姿勢に業を煮やした米国の担当者から、「そんなに日本人は文盲が多いのか」と言われて、二の句が継げなかったと言う話がある。
話を戻すと、大豆レシチンが中性脂肪やコレステロールを下げると言う慶応大学医学部のグループの臨床研究を上げて、「これをパンフレット(製品に添付)してはならないと言うのは理解できない」とする意見が上がった。すると薬務の担当者は間髪を入れず「まさに医薬品として承認をとるべきだ」言い放った。
それを聞くと、聴衆の中から「あいつ阿呆か」と言う声が漏れた。確かにアホである。業者は健康食品を医薬品として売りたいのではない。医薬品は病気の治療だが、健康食品は病気の予防である。もちろん、病気と健康の境目はかなり微妙だが、半病人から健康人までの予防である。さらに病気から健康への回復も含まれる。
さらに医薬品の認可を受けるには研究費などに200億円はかかると言われていた。認可を受ければ必ずもうかる薬ならば相応の投資も分からないではないが、食品は売ってなんぼの世界である。売れなければそれでお仕舞である。そんなお金をかけて医薬品の許可を取るものはいるわけはないことは行政の担当者も百も承知である。
つまり医薬品の許可を取れないなら、効果を言おうなんて大それた考えは持たぬ方が良いと言うわけだ。