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本当ですか鈴江さん!日本人は必要な栄養を満たしている?(205)
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さて対談だが、主役は二人。国立栄養研究所所長の鈴江緑依郎とライナス・ポーリング博士である。
始めに主催者の朝日新聞から次のような質問が出た。曰く「ビタミンの摂取が不足しているかどうか」。これで対談の口火が切られた。
鈴江さんは「平均すれば、どのビタミンも栄養所要量を満たしている」「ビタミンC欠乏は見られない」という。これは国の1日に摂るべき摂取量を定めた栄養所要量(現在の食事摂取基準に当たる)を国民はちゃんと摂っているかしら大丈夫だと言うわけだ。そのことは「国民栄養調査」で明らかにされているというわけだ。
そこには疑問符がつく。本当に栄養所要量で定めている栄養素の量でほんとに十分なのだろうかと言うことがまずある。さらに定められた量を、国民は本当に摂っているのだろうかというのがその次の疑問だ。
最初の疑問だが、鈴江さんの専門の一つでもあるビタミンCはこの対談が行われた時期には栄養所要量で成人1日50㎎とされていた。ところが、さらに後になるが1999年の栄養所要量の第6改定では倍の100㎎に増えていた。第6次の改定の文章には、何の説明もないままだ。何が科学だ、何がエビデンスだと言いたくなる。いい加減なものだとほとほと呆れた。
しかもこの改定で栄養摂取量の下限と上限が定められた。下限は従来の栄養所要量、上限はこれ以上摂ると過剰症の危険があると言った量に安全率を加えた量に設定を変えた。ちなみにビタミンCは下限が100㎎だが、上限は設定なしに青天井である。いくらとっても安全だと言うわけだ。
この点についてポーリング博士は持論を述べている。「所要量は病気にならない量だ。より健康になるためには大量に摂るべきだ」と。ここで言う「病気にならない量」とは欠乏症ならない量であり、欠乏症とはおそらく壊血病のことだ。
ところがポーリング博士の言う「大量」とはがんなどの生活習慣病や風邪などの感染症に罹らないとうにする量であり、最適な健康状態を維持する量のことを言っている。加えて自分は米国の所要量の300倍の18gを毎日飲んでいるが、「せめて1~2gは飲むように勧めたい」としている。18gと聞いて、さすがに驚いたが、1g~2gなら「なるほど」と思う。
栄養所要量が定める必要量はごく健康な人の必要な量だとされている。しかしその実、エビデンスに則っているようで、エビデンスとは名ばかりで、実はお金であると言う。お金とは国家予算など公的なお金のことだ。これはこの所要量を決めている側の学者から聞いた話だから間違いない。
この栄養基準に合わせて献立を決めている学校給食が作られ、生活保護世帯への食費が算定される。米国などは発展途上国などへの食糧援助のお金にも関わって来る。お金が絡んでくるわけだ。だからだから欠乏症が起きない程度の安全率をかけた最低の数字が栄養所要量(食事摂取基準)の量で、ポーリング博士の言う万人がより良い健康状態にする量ではないのである。
さらにもう一つの疑問は冒頭の「平均すれば…」という言葉に象徴される。確かに大半の栄養素の摂取は平均値では足りていた。そのことは国民栄養調査で明らかだった。つまりここで言う「平均」とは分布で表すと少ない人から多い人までいて、そのちょう真ん中辺り、つまり中央値であり平均値のことを言うのだ。
だとすると実際には低い人から多い人までいるはずだ。少ない人には欠乏から不足までの人たちがいることは明らかだ。 国民栄養調査の報告は毎年出るが、いまだかつて一つ一つの栄養素の摂取分布は明かされない。平均値のみだ。それで国民は満たされているといわれてもちゃんちゃらおかしい。科学者であるはずの鈴江さんたちがまるでエビデンスに関心がないように見える。
(ヘルスライフビジネス2022年7月1日号「私の故旧忘れ得べき」本紙主幹・木村忠明)