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成分本質の部位概念の採用は晴天のへきれき(217)
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結局46通知の改正が出たのは1年後の9月22日になった。正式名は「医薬品の範囲基準に関する範囲基準の一部改正について」である。この規制には成分本質、形状、用法用量、効能効果の4つのポイントがある。このうち改正されたのは効能効果を除く3つで、かなり業界の主張に歩み寄ったような内容となっていた。
「橋龍さんの霊験あらたかといったところだね」と橋龍さんとの料亭会議を知っている葛西博士は言う。しかしそれに加えて厚生省の食品部局が財団法人を認可し、健康食品の規格基準づくりを始めたことも影響しているに違いなかった。時代が変わったのだ。
さて、改正の中身だが、まずどのように変わったのかを見て行こう。最初に成分本質である。成分本質と言うと分かりにくいが、平たく言えば健康食品に使われている原材料の分類のことだ。原材料は医薬品にしか使ってはならない「専ら医薬品」と言うものと、医薬品に使うものだが食品にも使えるもの、食品にしか使わないもの3つに分けていた。
この分類の中で、「専ら医薬品」は以前と変わりなかったが、生薬など医薬品に使用されているものでも、形状などの条件付きで食品にも使用を認めて来たものは、「食品」と明示した場合には形状に縛られず使用が可能になった。
「これは1歩前進だな」と葛西博士は言う。
ところが、さらに大幅な前進だったのは、医薬品に使われる「部位」が初めて指定されたことだった。言い換えると医薬品に使われる部位、たとえば葉や茎など指定された部位以外はすべて食品として使うことが可能となるということだ。
「これは晴天のへきれきだね」。
葛西博士の言う通りで、この成分本質の規制に部位概念を入れたことはまさに青天のへきれきだった。そしてそれが健康食品の市場に大きな影響を及ぼすことは後で書くことにする。
それにしてもなぜ突然、原材料を部位によって分けるようになったのか。1年前の厚生省の「マニュアル作成委員会」の報告書にも、それを巡って厚生省と業界が渡り合った土曜協議会の席上でも、議論に上った覚えはなかった。後年知ったことだが、そこにある人の存在があった。
漢方薬や入浴剤の『バスクリン』で知られた製薬会社の津村順天堂、今はツムラと社名を変えたが、そこに劉勝彦さんと言う薬学博士がいた。私と知り合ったのは未来食品技術研究会と言う健康食品の業界団体が発足してからだから、1988年以降のことになる。それからだいぶ後になって、本人から46通知の中に部位概念が取り入れられた経緯を聞いて合点が行った。
かいつまんで言うと、劉さんが生薬を医薬品に使っている部位と、そうでない部位に分けたリストを作った。薬学博士で生薬学の専門家で、生薬の医薬品に精通していたから出来たことに違いない。そしてこれが厚生省に手に渡った。
もう少し詳しく言うと、生薬は医薬品に使っている部位と使っていない部位がある。例えば葉の部分を医薬品に使っているものは医薬品の部位は葉とすればよい。そしてそのほかの茎や根などは医薬品の部位ではないから、医薬品として規制はおかしい。これは確かに正論である。
そして46通知の改正が明らかになると、ほとんどそのまま新たな改正の成分本質のリストになっていたと言うから、さぞ劉さんも驚いた。これが生薬類の健康食品への応用に新たな道を開くことになろうとはこの時は葛西博士など一部の人以外には気付く人はいなかったに違いない。
(ヘルスライフビジネス2023年4月15日号「私の故旧忘れ得べき」本紙主幹・木村忠明)