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【香港視察】香港政府、医療技術イノベに1700億円支援
香港のメディカル分野最新のAI技術に視察団から感嘆の声
5月25~28日、メディカル・ヘルスケアの日本企業を対象とした香港特別行政区政府の投資推進機関であるインベスト香港と香港経済貿易代表部による香港視察・ビジネスミッションが開催された。同ミッションでは、香港で開催された「アジア・グローバルヘルスサミット(ASGH)」や「香港国際医療ヘルスケアフェア2025」などへの参加のほか、「香港サイエンス&テクノロジーパーク(HKSTP)」の視察、海外の関連企業とのビジネスミーティングなどが催され、香港ヘルスケア産業の最前線を取材してきた。
アジア・グローバルヘルスサミットに世界42か国・地域の関係者集まる
今回の香港視察では、テーマ別セミナー、交流会、潜在的な投資家、投資先、ビジネスパートナーとのビジネスマッチング会議など、一連の訪問プログラムが実施された。視察・ビジネスミッションに参加した13人の企業代表者らは5月25~28日、香港の最新のメディカルサイエンス環境やヘルスケア市場を視察。また現地の企業らと具体的な情報交換などを行い、大きなビジネスチャンスを得る機会となった。

まず代表団は、26日・27日に開催された香港貿易発展局主催の「アジア・グローバルヘルスサミット」と「香港国際医療ヘルスケアフェア2025」に参加。サミットには、世界42の国と地域から2900人以上の関係者が参加しており、最新AI技術を医療機器などに導入した先端技術が多数発表されたほか、未来のメディカル分野の発展を期待させる講演・展示が行われ、香港政府のサポートのもと、来場者は活発なビジネスミーティングやネットワーキングセッションを積極的に行った。

サミット開会式で、香港特別行政区政府の李家超(ジョン・リー)行政長官は「本サミットは、『共通の未来に向けたグローバルな協力の促進』というテーマの下、香港が地域における主要な医療イノベーション拠点として極めて重要な役割を持つことを改めて確認するものです。我々は、ヘルスケアイノベーションを含む香港の優れた研究成果から、効率的な商業的利益が得られるよう努めています。企業による新たなイノベーションの導入とスマート生産施設の設置を支援します。皆様と共に、有意義なパートナーシップと革新的な協力関係を築いていきたい」と思いを述べた。
また、サミットでは、日本から原丈人氏(デフタパートナーズグループ会長/アライアンス・フォーラム財団代表理事兼会長)、上野裕明氏(田辺三菱製薬会長)、野口亮氏(JMDC代表取締役社長兼CEO)が登壇。「共創する未来に向けた国際協力の促進」をテーマにパネルディスカッションが行われた。田辺三菱製薬の上野氏は「グローバル展開には治験やマーケティング面で大規模なリソースが必要であり、大手企業の関与も不可欠」と述べ、「将来的には製薬ビジネスは、創薬、開発、製造、販売に至る機能を各企業間で分担し、それぞれの強みを活かして共存していくビジネスモデルが望ましい」との見解を示した。

サミットを視察した代表団からは「メディカル分野での香港の技術力は驚くものがある。特にAIの導入は日本がまだ追い付いていない領域も多かった」と驚きの声も上がるなど、有意義な情報が多かったようだ。
また、ヘルスケアフェアでは、香港、中国本土の企業をはじめ、英国、ドイツ、韓国、ハンガリー、タイ、シンガポール、イスラエルなど世界中から企業が出展。さらに香港の7つの大学、香港サイエンスパークパビリオンに出展した30社以上のイノベーション企業、香港医療・健康機器産業協会が率いる20社以上の医療企業も参加し、日本関連の企業では三井物産やJETROも出展するなど約300の出展社が集まった。各社、それぞれ独自の医療機器、健康食品原料、OEMサービスなどを提案。来場者も世界各国から業界関係者、投資家などが多く集まり、熱気のある展示会となった。

代表団では26日、香港日本人商工会議所ヘルスメディア委員会や同視察主催のインベスト香港との情報交流も設けられ、交流会場では香港日本人商工会議所ヘルスメディア委員会らによる、香港ビジネスでの成功例、医療機器などのレギュレーション、香港のヘルスケア環境やヘルスケア市場の状況など最新の香港ビジネスに対する講演が行われた。また、その後の歓迎晩餐会でも日本企業による参入ケースやヘルスケア市場の可能性・価値、文化の違いによる注意点など具体的な意見交換を行う姿が見られた。
巨大研究施設・サイエンスパークに現在2300社


27日には、香港のサイエンステクノロジ―を集約する研究開発施設、「香港サイエンスパーク」を視察。パーク内には多くの研究施設が立ち並び、HKSTPによると今年6月時点で2300社を超える企業が入居。現在サイエンスパークでは、バイオメディカル分野だけでも321社が研究・開発を行う巨大施設となっている。代表団は、現地でバイオメディカル分野の研究を行うロート製薬の研究施設を見学。「日本各所にあるサイエンスパークとは比較にならないくらいの規模の大きさと、香港政府や関連団体からの手厚いサポートには衝撃を受けた」、「実際にラボを見学して、香港政府の力の入れ具合が本気であることを実感した」など、代表団からはその圧倒的な規模に感嘆する声が聞かれた。香港サイエンスパークは、入居企業へ初年度の費用0円、ビジネスマッチング機会の提供など、政府、関連団体の多くの補助金やサポートで優遇されている。


現在、香港は医療技術イノベーションのリーディングトップとして、各分野のテクノロジーごとに数十億香港ドルの多額予算でサポートしており、これらの研究学術、産業のために約95億香港ドル(約1740億円)をかけ成長させている。今回の視察を通して、参加者からは「日本にいた時には、香港ビジネスにおいてネガティブなイメージも多少あったが、現地企業がみな前向きで活発であり、良い意味でイメージが覆された」、「日本に戻ったらすぐにでもサイエンスパークへの入居を具体的に検討していきたい」など皆良い刺激を受けていた。
視察団を率いたインベスト香港は「実際に香港の雰囲気やメディカル業界に対するサポートを体感頂けた事は大変有益だったと思う。香港への進出を検討いただける場合は、日本・香港の両側からしっかりサポートさせて頂くので、香港における会社設立・事業拡大のご相談は invest@hketotyo.gov.hk 電話03-6628-8568 までご連絡いただきたい」と、述べた。
<インベスト香港>
https://www.hketotyo.gov.hk/japan/jp/
Email:invest@hketotyo.gov.hk TEL:03-6628-8568
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