ドーンと大きく取り上げてくれ!(211)

2026年9月15日

久しぶりに加藤さんに会った。丸谷金保参議院議員の秘書になったとは聞いていたが、その後は会っていなかった。あちらから電話があって会うことになったが、議員秘書ともなると会うところが違う。赤坂である。議員会館も近いためか、赤坂見附の地下鉄のエスカレータを上がったところで待ち合わせになった。

赤坂と言えば料亭である。田中角栄や竹下登など自民党の政治家が出入りするところを、テレビのニュースでよく見かける。たいがい築地、神楽坂、そして赤坂である。話が外部に漏れないからだそうだが、ずいぶん高い会食である。もちろん行ったことはないから、いくらかかるかは知らない。

「違うよ!料亭なんて行くわけがないよ」とやってきた加藤さんはいきなり夢を打ち砕いた。確かにそうだ。親分の丸谷さんは社会党の参議院議員である。労働者の味方が料亭通いをするはずがない。

「丸谷さんは自民党の政治家とも付き合いがあるから行くにはいくが、私が行くわけがないよ」

確かに秘書である。国が給与を保証している公設秘書だが、給料も30万円程度だろうから、料亭などに行けるわけはない。だから目指すのは、思った通り居酒屋である。この赤坂にも赤ちょうちんをぶら下げた居酒屋はちゃんとあるのである。確かに築地や神楽坂にもこの類の店はある。金持ちは金持ちで、貧乏人は貧乏人で、同じ界隈でも行く店が違うだけなのだ。

「ここでいいかなあ」と暖簾を潜って入った店は新宿で池袋にでもある“一杯飲み屋”である。そして酒が入るといつもと同じで、ぐずぐず言い始めた。

昨年、丸谷さんからの電話があり、秘書を探していることを知った。そして加藤さんをその候補として探していたのだ。そして居場所を知らせたのは私である。そのころ国際浪人塾が解散して、加藤さんのジャーナリストへの夢を絶たれ、プータローと化していた。だから加藤さんに、輝かしい国会議員の秘書の口を紹介したのは誰あろう、この私ということになる。

しかし加藤さんが秘書になってみると、健康食品の業界に伝手のある加藤さんの存在が必要だと言うことが分かった。

「それで何をやっているんですか」と聞くと、企業集めだと言う。

丸谷さんは市民と政府の対話を行うことを目的にした「土曜協議会」と言うのを3年前からやっていた。相棒は市民運動家から社会党系の衆議院議員になった竹村泰子と言う人だ。それで左がかった人の集まりだと思うと、ほとんど興味がわかなかった。ところがこの会合が5月9日に衆議院第一議員会館で行われると言う。そしてその会合のテーマが「健康食品の表示」だと言う。

この年に春に健康食品の取り締まりに使われている薬務局長通知“46通知”の改訂が検討されているマニュアル作成委員会の手で進められていた。つまり、この会合ではこれが何らかのかたちでテーマになると言うわけだ。

「誰が集まるのかと言うと、健康食品の企業と行政の人たちだ」

行政の人とは厚生省の薬務局、健康増進栄養課、食品保健課、農水省で、このマニュアルを含めて、健康食品の表示を巡って、行政と企業が直接対話をする場を設けたのだ。

「それは面白い」と言うと、だから企業を集めてくれと言う。

マニュアルはまだ出ていないから会合はこれからも継続的にやる。当日取材して記事にしてくれとのことだ。他の新聞社にも声をかけているが、あんたのところで、ドーンと大きく取り上げてよと言うわけだ。

ところで企業の参加の条件を聞くと、会費を払ってくれれば良いと言う。いくらかと聞くと年会費は確か3万円だったと思う。それで納得した。これが加藤さんの仕事なんだ。つまり営業である。

(ヘルスライフビジネス2022年7月1日号「私の故旧忘れ得べき」本紙主幹・木村忠明)

※第212回は9月22日(火)更新予定(毎週火曜日更新)

関連記事